「現地へ行かれるんですか?」
「直接、買い付けされるんですか?」
お客様から、よくお問い合わせがあります。
結論から申し上げると、
「現地へは行きません。」
「農園との直取引(ダイレクト)はしていません。」
「こだわりの店」のシェフやオーナーが、直接現地に赴き、生産者と会って吟味した食材を仕入れる・・・メディアの影響か、コーヒー店にも同様なイメージを持たれていると考えられます。
もちろんコーヒーの世界にも、料理人同様に「現地で買い付け」している方々はいらっしゃいます。
私の考える「現地買い付け」とは・・
・消費国サイドから生産者に「この様な豆が欲しい/作って欲しい」とリクエストができる。
・栽培工程・精製工程でもアドバイスと改善についてディスカッションできる。
・生産者がリクエストに応えてくれた場合、「その豆を購入する」。
・購入のための「価格交渉」ができる。
これらが「可能なら」現地へ行く意味は大いにあります。
しかしながら、農園の規模にもよりますが、取引単位は70㎏にも及ぶ麻袋生豆が「数十~数百」という量が一般的です。
これはあくまでも1アイテムにつき、の話であって数か国のアイテムを扱う場合、膨大な生豆のストックを可能とするスペースや保管代、買い付け資金が必要です。
また、農園主との価格交渉もハードです。
物流・保険・決済等、基本的にはプロの商社マンと何ら変わらない交渉スキルが不可欠です。
とてもではありませんが、街の一介の自家焙煎店が関与できるレベルではありません。
「私の知ってるコーヒー屋さんは、現地にも行ってるみたいだけど・・」という声もあるでしょう。
ビジネス、という点よりも、コーヒー豆は「こういった環境で作られている」「こんな工程で作られている」を知る良い機会ではあると思います。
思い入れが強いオーナーは「単純に見てみたい/行ってみたい」という欲求もあるでしょう。
決して否定するものではありませんが、これら多くのケースは、要は「見学」です。
生産国に行った生の「お話し」はお客様にとって刺激的でしょうし、「農園主と握手する写真」等がお店に掲げてあれば「こだわりの店」というイメージも強まるでしょう。
「現地に行く」という考え方は、コーヒーのプロの方々にとって、様々な思惑があります。
当店では「ビジネス」という点を最重要視しています。